私たちは、夢を理路整然と見ているのではなく、また見た夢全部を記憶しているのでもありません。
記憶しているのは、たいがいはとぎれとぎれであいまいな夢です。的外れの夢だと思ったり、寝苦しかったからと片づけてしまうこともあるでしょう。
なかには、夢なんか・:と軽蔑する人もいますが、まったく否定することはできない面があります。
試験の合格発表の前日、合格した夢を見たら実際に合格していたなど、見た夢が現実となったということがあります。
いつも希望をもって、イメージトレーニングや集中力を高める努力をしていると、願っていることが、いつのまにか潜在能力となって現実のものとなる場合があります。
実際にはこんなことが起こるはずがないという、常識では考えられないことまでもが現実となって、幸運をつかむケースもあります。
夢は、人別すると二つあります。一つは、現実に悩んでいることがそのまま夢に現れてくる夢と、もう一つは、まったく何も関係のないことが、ひょいと現れてくる夢です。
二つ目の身に覚えがないような夢も、じつは私たちの潜在意識から生まれる場合が多く、要するに深層心理から起こる現象なのです。どちらの夢にしても、あなたに対するなんら
かのメッセージに相違ありません。
たとえばAさんとBさんが「海辺に立つ」という同じ夢を見たとしても、その夢が暗示するものは異なります。最終的にAさん、Bさんがそれぞれどう受けとめて、どのように行動するかで変わってくるのです。性格や思考、環境など、人それぞれの異なる潜在意識によって、同じ夢を見ても、個人差があることを覚えておいてください。
日覚めたとき、漠然とした夢、鮮明でリアリティに富んだ極めて印象深い夢など、夢の内容をなるべくキャッチし、不調を幸せに変え、幸せをさらに今後も保てるように、おお
いに夢を活用していただきたいものです。
夢は一概にこうだと言い切れません。すべてを解明することはむずかしく、古来から神秘のベールに包まれたまま今日に至っているといってもよいでしょう。逆の見方をすると、それだけに夢はいろいろなことを物語っていて、夢から示唆されるものはたくさんあるということもできるのです。夢は、神のような高次元の予言とさえいわれており、古代から高い評価を与えられていることも、筆者としてうなずけるゆえんでもあるのです。