眠りと夢との関係
睡眠中に人間は夢を見ます。

眠りと夢との関係

夢を見るのは、浅い眠りの「レム睡眠」時

 人間の適正な睡眠時間は一日八時間といわれ、最近、健康の面から夢に対する関心が高くなっています。
健康に欠かせない睡眠は、生活の中で三分の一ということは皆さんご存知でしょう。しかし、眠りと夢との関係については、わかってきているといっても完全に知られているわけではありません。
 ふつう眠りについてから目が覚めるまでは、ずっと同じ状態で眠り続けているわけではありません。本人が覚えていないだけで、私たちはひと晩に四、五回は夢を見るといわれています。

 

 テレビや雑誌などで、「レム睡眠」「ノンレム睡眠」という言葉を目にする機会があると思います。レム睡眠とは浅い眠りを指し、閉じたまぶたの下で眼球がときどき動く状態のことです。反対に、ノンレム睡眠は深い眠りを指し、眼球はビクともしません。その状態が熟睡なのです。夢は熟睡時には見られず、レム睡眠の状態時に起こりやすいのです。人間はJ時問二十分から一時間半間隔でレム睡眠が訪れるといわれています。寝ていても神経は活動しているため、血圧や心臓の働きなど、半意識的な覚醒作用から夢の現象が起こると考えられています。

 

 普段、夢が記憶される場合は、朝になって目覚めようとするレム睡眠の発信時に多く見られ、人によってはおぼろ気だったり、自覚さえ乏しい場合がよくあります。夢は、比較的、頭脳を使う仕事をしている人ほどよく見るようです。また、心配事で精神疲労がたまっている場合にも多く現れます。

 

夢は人生を変え、生きる力を与えることも

 平安時代の夢見の達人といわれる明恵上人は、幼いころに母親を亡くした大ですが、僧侶になったきっかけは、「世の人のために尽くしなさい」と夢に出てきた母親に言われたことからだといわれています。そして、僧侶になってからも、夢と現実の二次元の世界を行きつ戻りつしながら、釈迦への帰依を深めていったといいます。

 このように夢は、人生を変えたり、強く生きる力を与えるものでもあるのです。
 また、ある心理学者は、明恵上人は深層心理に精通した立派な老僧であると、新聞記事に発表していました。
 夢は自覚できない内臓の働きのようなもの、と極めてシンプルな説明がとても印象的で、夢の大切さが思われてなりません。